常識破りの2画面タブレット「Sony Tablet P」がすごい!



今日、Androidタブレットが続々と発売される中、異彩を放っているのが“Sony Tablet”Pシリーズだ。

タブレット端末は、7~10型程度の液晶を搭載したスレート型の製品が主流だが、Sony Tablet Pは1024×480ドット表示の5.5型ワイド液晶が2枚備わった折りたたみボディを採用している。
これにより、携帯時は2つ折りにしてコンパクトに持ち運ぶことができ、利用時は本体を開いて広々と2画面で使える、携帯性と操作性の両立を図っているのだ。






まず、開発の経緯だが、Sony Tablet Pのもとになるプロジェクト自体は2007年4月ごろとかなり前からスタートしたという。当時、ソニーでは技術開発部門の中に新しい技術に取り組む部署があり、さまざまな部署から新しいモバイルデバイスの開発に興味がある人員が集結し、プロジェクトが始まった。

もっとも、2007年にはAndroid端末がまだ存在せず、2010年発売のiPadに始まるタブレットのブームもまだまだ先のこと。
2007年1月にiPhoneが発表されたが、同年6月に米国での販売が開始される前で、その評価も定まっていないような時期であった。

したがって、開発プロジェクトの当初はタブレット端末を想定していたわけではなかった。

さらに当時のスマートフォンの一般的な画面サイズ(3.5型前後)では、PCと同じWebサイトを表示できても、拡大/縮小やスクロールを頻繁に行う必要があり、家庭でのPCと同レベルとはいいがたかった。これをより快適化するには大画面が重要になるが、10型や12型のディスプレイを採用すると、今度は常に携帯するのがつらくなってしまう。そこで、視認性と携帯性のバランスを模索していた。




開発初期にはWindows以外のタブレット端末が一般向けになく、OSやプラットフォームを何にするかも特に決めていなかった。

まずは「手のひらでPC並の処理ができる端末」という感覚を味わってみようと作られたのが、VAIOをベースとした試作機だ。小型軽量モバイルPCの「VAIO type U」からディスプレイ部分を分離し、感圧式タッチパネル付きの4.5型液晶ディスプレイとケーブルでつないだもので、手のひらサイズの小型軽量端末をイメージしたさまざまな評価に役立てた。これを十数台試作し、社内のユーザーエクスペリエンス調査を行う部署などで検証した。

試作機のディスプレイ側には、加速度センサー、ジャイロセンサー、電子コンパスなど、当時考えられるセンサーをほぼ“全部入り”で載せたほか、カメラやL/Rボタン、さらには「PlayStation Vita」のような裏面タッチパッド、押したり握ったりする強さを伝えられる感圧センサー、息遣いなどの再現を想定した送風デバイス、といった一風変わったものまで、とにかく詰め込んでみたという。





試作機でのフィードバックから、2画面折りたたみ端末の製品化に向けた手応えを得た後は、いよいよ具体的にどのようなハードウェアやOSを採用するかの検討だ。各社のプロセッサなど、あらゆるプラットフォームを検討し、市場動向なども踏まえたうえで、最終的にはソニーとしてやりたいことが一番できそうなNVIDIA Tegra 2とAndroid 3.xの組み合わせに決定したという。

開発時に目指したボディサイズは、ジャケットの胸ポケットやパンツのバックポケットに入れられる長財布のイメージで、本体サイズは閉じた状態で180(幅)×79(奥行き)×26(高さ)ミリ、開いた状態で180(幅)×158(奥行き)×14(高さ)ミリだ。ボディが丸みを帯びているため、多少厚みは出ているが、フットプリントはほぼ狙い通りにおさまった。

一方、重量のターゲットについて、辛島氏は「持った際に軽さが感じられた300グラム以下を目指した」とするが、十分なバッテリー容量を確保するなどの調整で、最終的には約372グラムとなった。それでも400グラムを切っており、コンパクトなボディも合わせ、持ち運びはしやすい。





画面サイズと解像度については、Webサイトやアプリの表示を想定して最適なバランスを追求していった。
Webサイトを閲覧する場合、横解像度が1024ドットあれば、ユーザーが左右スクロールをしないで済み、上下スクロールだけでたいていのWebサイトが見られるので、まずは横解像度を1024ドットに決めた。

次に横解像度が1024ドットの状態でWebページの画面キャプチャを行い、画面サイズを0.5型くらいずつ変えて作ったモックの液晶部分にはめ込み、サイズの印象や表示の細かさを確認。そこで視認性と携帯性のバランスを比較し、5.5型ワイドの画面サイズがベストと判断した。縦解像度の480ドットは、さまざまなAndroidアプリが1画面内におさまることを考慮したものだ。

Sony Tablet Pは2画面構成ということで、画面間の距離や使い勝手にもこだわった。液晶ディスプレイモジュールのフレームぎりぎりまで2画面を接近させ、画面間の距離を約9ミリに縮めている。佐久間氏は「将来的には2画面の距離をゼロにしたいが、これ以上に画面間の距離を詰めるには、フレームがないような液晶ディスプレイモジュールを作らなければならない」という。




それでは、Sony Tablet Pの中身を見ていこう。

天面のカバーはスライド式で、底面のカバーも背面のボタンを押し込むだけでロックが外れて着脱できるため、まずはこれらを取り外す。すると、天面にカメラとSIMスロット、底面にバッテリースロットが現れる。タブレット端末では内蔵バッテリーを着脱できない製品も多いが、Sony Tablet Pはモバイルでの利用がメインなので、外出先でバッテリーが切れても交換できることにこだわった。

ちなみに天面と底面のカバーはシルバーが標準だが、オプションとしてブラックとホワイトも用意されている。辛島氏は「天面にSIMスロット、底面にバッテリースロットがあるため、表面に小さなフタを付けて不格好になるより、カバー全体を着脱できたほうが見栄えがよいだろうと判断した。





カバーがない状態で表面に露出しているネジをすべて回すと、内側の黒いカバーを取り外すことができ、内部構造を一望できる。底面側にCPUとメモリ、microSDメモリーカードスロットを実装したメインボード、天面側に無線WAN(NTTドコモのFOMA対応)/LAN(IEEE802.11b/g/n)モジュール、Bluetooth 2.1+EDR、各種センサー、アンテナの基板を配置した独特のレイアウトだ。
通常のノートPCでは主要なパーツを底面側に置くが、Sony Tablet Pはフットプリントが180(幅)×79(奥行き)ミリと小さいうえ、底面に熱源となるCPUや無線WAN/LANモジュールが集中してしまうと、放熱面がかなり厳しくなってしまう。

また、上下の厚みや重量のバランスが崩れてしまうのも問題だ。そこで、実装面積が大きく、CPUに次ぐ熱源となる無線WAN/LANモジュールは天面側に移動させている。

メインボードと天面側の各種デバイスとは、100本(50本×2組)の信号線で接続する仕組みだ。天面側と底面側をつなぐヒンジ部分が中空になっていて、そこに信号線を通している。このヒンジと信号線の処理は開発が困難だった部分で、何度も試作を繰り返したという。




8層基板のメインボードは、サイズが約60×60ミリとコンパクトにまとまっており、CPUのNVIDIA Tegra 2(1.0GHz)と1Gバイトのメモリ、4Gバイトのフラッシュストレージ、microSDメモリーカードスロットを実装している。4Gバイトのストレージはシステムとアプリ用で、ユーザーデータはmicroSDメモリーカードに保存する仕組み。製品には2GバイトのmicroSDメモリーカードが付属するが、より大容量のカードを装着することで、データ容量の柔軟に増やせる。

シールドケースに隠れたCPUは、真上に1Gバイトのメモリチップを重ねて実装した2階建てのパッケージオンパッケージ(POP)仕様になっているのが珍しい。佐久間氏は「POPは実装技術が難しいが、小型化できることに加えて、配線自体はほとんどゼロになるので基板のパターン設計が容易になる。配線が短いのでパフォーマンス面でも有利だ」とその理由を解説する。




無線WAN機能をMini PCI Expressカードで搭載した理由は、主に熱源の分散のためだ。チップで実装するとCPUのそばに配置する必要があり、距離が離れると信号のロスや若干の電圧低下が発生し、それが直ちに性能に影響してしまう。なので、サブ基板上の電源はすべてサブ基板上で作り、取り回しのしやすいカード型モジュールを別途評価キットに載せて検証を重ね、安定して性能が出せるようにした。

無線まわりではアンテナの実装にもストーリーがある。天面側の左右に重要度が高い無線WANとGPSのアンテナを配置しつつ、ボディを両手で持った際に隠れない(つまり使用時に感度が落ちにくい)、天面側の中央下部に無線LANとBluetoothの共用アンテナを搭載しているのが面白い。

これにより感度を確保しているが、無線LANとBluetoothの共用アンテナはすぐ下に液晶ディスプレイを支えるアルミフレームがあるため、小さなチップアンテナでは金属が近すぎて性能が出ない。そこでチップ部品と同じように自動実装機で搭載できるアンテナを新開発した。設置面から1.5ミリ程度浮かせた場所に無線LANとBluetoothの共用アンテナを配置することで、性能を高めている。



この冬、携帯性に優れたAndoridタブレットが欲しいという人はもちろん、既存のタブレットはどれも似たようで面白みに欠けると思っている人、あるいは先進的なデジタルガジェットに興味がある人は、Sony Tablet Pをおすすめする。
「小さく運んで、大きく使える」という2画面タブレットならではの特徴がある。

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